神奈川大学大学院

[私立]

大学院紹介
基本情報
研究科・専攻
CLOSE UP!
人間科学研究科
杉山崇教授
人間関係のサイクルや苦しみの原因を探り、笑顔と喜びを引き出す“心の専門家”を育成
一般入試
入試要項
社会人入試
入試要項

CLOSE UP! 教員インタビュー

人間科学研究科

人間関係のサイクルや苦しみの原因を探り、笑顔と喜びを引き出す“心の専門家”を育成

人間科学研究科
杉山崇教授

学習院大学大学院人文科学研究科にて心理学を専攻。長野大学専任講師、山梨英和大学准教授などを経て、2013年から現職。脳科学と心理学を融合させた次世代型の心理療法の開発・研究を続けるかたわら、人間科学研究科では心理療法・カウンセリング指導を担当。

人間関係の偏りを正し、うつ病の原因サイクルからの脱却をめざす

杉山先生の現在の研究テーマを教えてください。

多岐にわたる研究テーマの中でも、特に力を入れているのがうつ病の研究です。私が研究者となった90年代の初め頃、うつ病は患者さんの「考え方」に問題があるとされ、その考え方を変える心理療法(認知行動療法)が治療の主流となっていました。しかし、そうした治療を行ってもなかなか気分が改善しない。それはなぜかというと、うつ病で苦しむ方は「人間関係の偏り」によって気分が落ち込み、考え方にも偏りが生じているから。人間関係が乏しく、良い人間関係が構築できないと、人は気分が落ち込んだ状態が続き、周りの人のことを気遣えなくなります。すると周りの人に敬遠されて、より気分が落ち込み、ますます周りの人のことを考えられなくなる――こういう人間関係のサイクルに入り込んでしまうと、うつ病が悪化し、なかなか抜け出せなくなってしまうのです。私たちの役割は、こうした悪いサイクルにはまらないようにするには何ができるのか、また、すでに悪いサイクルに入り込んでしまった人をどう救い出すのかを探り、患者さんの笑顔を取り戻すことにあると思っています。

中断された「人生の物語」を見つけ出し、幸せな完結へと導く

大学院ではどのような講義を展開されているのでしょうか?

大学院では臨床心理学研究領域において心理療法の指導をしています。そこではうつ病をはじめ、心の問題に悩む方を対象に、その苦しみの“原因”を探し出し、カウンセリングを重ねながら症状の改善をめざします。人はみな、心の中に自分だけの物語を持っているものですが、実はそれらの物語には途中で中断されてしまっているものもあります。そうした中断された物語をたくさん抱えると、自分が今進むべき物語に集中できずに悩んだり、落ちこんだりする原因にもなってしまうのです。私たち心の専門家の役割は、こうした中断された物語を見つけて、その物語を一緒に完結させてあげること。抱えている物語の数は人によって違いますし、中断された物語はたった一つしかなくても、その一つが重く心を占めてしまい、何年も日々の感情に影響を与えていることもあります。どんな物語が中断されているのかを見つけるまでには、苦労をすることもあるかもしれませんが、カウンセリングは「経験を積む」ことが重要ですから、実践的に学んでいきましょう。

自ら問題を見つけ、それを伝え、行動できる力を育てたい

どのような学生を育成したいとお考えですか?

今、心の病を抱える人が増え、大きな社会問題になりつつありますが、私はその背景に大きく2つの要因があると思っています。一つは豊かな時代となり、自分の人生において、さまざまな夢を見られるようになったこと。しかし夢はすべてがかなうわけでなく、中には途中で断念せざるを得ないこともあります。そうした夢の“喪失感”が気分の落ち込みへとつながっていることが考えられます。そしてもう一つの要因は、成熟した現代社会の中で新たな夢や希望を抱きにくくなっていること。人は未来に導かれていると幸せを感じるものですが、今、私たちを導いてくれるはずの未来は不透明で、先行き不安なことばかり。こうした不安が重なると、自分のライフイベントで起きた「嫌なこと」がなかなかスルーできなくなり、気分が落ち込んでしまうのです。
こうした「心が疲れやすい」時代背景からも、今後、心理学はますます重要度を増していく学問だと思っています。社会から「必要とされていること」ができる人材となるためにも、自分が置かれている環境の中で今、何が足りないのかを見つけ、見つけたことを人に正しく伝え、行動できる、そんな3つの力を身に付け、実践できる学生を育てていきたいと考えています。

たくさんの喜びと笑顔を見いだすやりがいを感じてほしい

最後に、出願を考えている方へのメッセージをお願いします。

人間は人間から与えられた情報や働きかけによって喜びを感じるようにできています。最近、脳に関する研究によって、人間が最も反応するのは人間に関することであり、人は人とのコミュニケーションによって喜びを見いだすことができるということもわかってきました。そういう意味からも、心理学はたくさんの喜びを見いだすことができる、とてもやりがいを感じられる学問であるともいえるでしょう。心理学に携わる仕事は、相手があってのものですから思い通りに進むことばかりではありません。また、もしも間違ったカウンセリングをするとクライアントの命に関わることもありますから、心のしくみについて学ばなければならないことも多く、大変なことも多いと思います。でもしっかりと学び、クライアントと向き合えば、その分、たくさんの喜びを見つけ、やりがいを感じることができると思います。当大学院で学んだ後、資格を取得して臨床心理士として活躍している先輩もたくさんいます。心の病で苦しむ人の笑顔と喜びを引き出す“心の専門家”として、ぜひ一緒にがんばりましょう。