東京大学大学院 新領域創成科学研究科

[国立]

大学院紹介
基本情報
研究科・専攻

研究科・専攻

物質系専攻

本専攻は、物性研究所、理学部、工学部などの物質・物性関連の教官を融合した21世紀型の大学院専攻です。本専攻は、研究科と物性研究所が協力して作りあげ、世界最強・最大の物性センターとしての役割を追求しています。そこには物性をめざす多くの教官が集い、学生とともに研究を行っています。また、総合的・系統的な幅広い物性教育を行い、物性研究の真のプロを育成する、若い息吹に満ちた専攻です。

われわれが相手にしている“物質”とは、原子核と複数の電子から作られる原子というナノスケールの構成要素が1023という天文学的な数にわたって集合して形成された超多体系です。これまでに、さまざまな物質やそれが示す多様な現象が理解され、それらを応用するための学問が構築されてきました。しかしながら、われわれが現状で扱うことができている自由度は、超多体系が持つ天文学的な自由度のごく一部に過ぎません。この未開拓な自由度を開拓して、新しい現象の探索、新しい概念の構築を行い、さらに、それらの応用分野を開発することが、本専攻の目標です。この目標を達成するために、下記の2つのアプローチを行っています。

一つは、巨視的な現象の観測からナノスケールでの出来事を予想するだけではなく、直接ナノスケールでの現象を観測し、制御することです。現在は、高分解能電子顕微鏡群、走査トンネル顕微鏡群、シンクロトロン放射光・中性子線などの強力な量子ビーム群、スーパーコンピュータによる第一原理シミュレーションなどのハイテクノロジーの開発と応用を行っています。

もう一つは、超強磁場・超高圧・超低温・超短パルスレーザーなどの極限状態や、プラズマや超急冷などの非平衡状態を利用して、強電子相関などの多体効果についての情報を収集し、新しい描像の構築、新プロセスの開発を行っています。

https://www.k.u-tokyo.ac.jp/materials/index.html

先端エネルギー工学専攻

エネルギーとは、物体が仕事をする能力を表すことばです。あらゆるシステムが機能するため、また生命体が生存するためには、エネルギーを生産あるいは摂取し、変換、貯蔵、輸送し、活用する機構が必要です。

先端エネルギー工学専攻では、「エネルギー」をキーワードとして、先端物理、材料、機器、制御、システム、環境の諸問題を総合的にとらえた教育・研究を行います。中心となる主題は、超高温状態(プラズマ)や高エンタルピー状態など、物質の極限状態におけるエネルギーの発生、利用と制御、極限構造材料設計、また電気エネルギー、電磁エネルギー、電磁波エネルギー、光エネルギーといった様々な形態をとるエネルギーの効率的な利用、貯蔵、環境適合性、さらに新たなエネルギー源と高度なエネルギー利用の可能性がもたらす未来社会の設計です。

今日の科学技術に対して社会から強く求められている課題の一つは、人類が生存し高度な文明社会を築いてゆくために必須の「エネルギー」を、科学の視点から総合的に捉え、いろいろな分野で分散的に研究・開発されてきた技術を融合させ、社会と調和した発展を図ることです。

本専攻は、エネルギー変換システム講座、システム電磁エネルギー講座、プラズマ理工学講座、核融合エネルギー工学講座、融合デザイン学講座(基盤科学領域創成研究教育プログラム)、宇宙エネルギーシステム講座(連携講座)、先端電気エネルギーシステム講座(連携講座)、深宇宙探査講座第二(連携講座)、核融合エネルギー科学講座第一(連携講座)、「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション」(社会連携講座)、「EV協調型サーマルシステム工学」(社会連携講座)からなる学融合的な教育研究体制をとり、未来のエネルギー計画について具体的な可能性をイメージした先端的・独創的な研究・技術開発を行うことができる人材養成を目指しています。

http://www.ae.k.u-tokyo.ac.jp/

複雑理工学専攻

本専攻は、理学と工学を融合した今までにないアプローチによって「複雑性」を解明し、新しいパラダイムを創成できる研究者・技術者を育成するという理念の下、設立されました。実世界には複雑な非線形現象が数多く存在し、複雑な系を単純な系の線形的な重ね合わせで構成することは必ずしもできないという事実に、われわれは直面しています。カオスやフラクタルといった新たな非線形概念の形成を契機として、実世界には多数の非線形要素が強く相互作用する複雑系が至るところに存在しており、その理解は21世紀の新しい科学技術を創成する原動力となり得ることが明らかになってきました。

本専攻では、3つのモジュールおよびこれらの基盤となるプラットフォームを構築し、複雑系の学融合を推進し、新しい複雑系科学・技術の創成をめざしています。『脳・バイオモジュール』では、脳・生体計測バイオイメージング分子機能解析等の実験的アプローチにより、脳機能発現の解析を推進するとともに、制御理論統計力学非線形動力学等の理論的アプローチにより、脳の情報処理や生体メカニズムの基礎理論の構築と、それらを活用する知覚・認識デバイスや人間支援システムの開発をめざします。『アストロバイオロジーモジュール』では、地球や惑星の大気進化や環境進化地球環境と生命の共進化地球や惑星の磁気圏・プラズマ圏で生じる現象などの問題に総合的に取り組んでいます。『極限物質モジュール』は、固体の表面・界面や内部で生じる複雑現象を微視的な立場から理解し、新たな機能をもつ物質の開発をめざすナノサブモジュールと、高温プラズマの物理研究・核融合開発研究を行うプラズマサブモジュールから構成されます。『複雑系プラットフォーム』では、シミュレーションや計測データから重要な特徴を抽出するための解析、得られたデータの複雑さや特徴に応じた符号化、このように得られたデータから有用な知見を発見する機械学習という3段階のパイプライン処理の実現をめざしています。

https://www.k.u-tokyo.ac.jp/complex/

先端生命科学専攻

本専攻には、13の基幹講座があり、国立がん研究センターとつくばの国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)に学外連携講座があります。さらに、本郷キャンパスの総合研究博物館と柏キャンパス内の大気海洋研究所にも学内兼担講座があります。この合計17の研究分野から本専攻が構成されています。これら17の研究分野は、『生命の基本原理や進化』といった、基盤的研究を推進しているだけでなく、『健康、食、生物資源』に関する課題や、環境や保全の問題解決につながる、『生物多様性』の理解に取り組んでいます。

柏キャンパスでは、研究科内・専攻内で、さまざまな研究領域が隣り合わせになっています。これが本専攻の特徴であり強みでもあります。それぞれの研究室が、異なる視点を知り、競い合い、助け合う、といった相互作用により、新たな響きを奏でる『異分野協奏』をめざしています。こういった理念のもと、身に付けて欲しいことが3つあり、卒業までのカリキュラムに反映されています。

1.「証拠と論理」:自分で証拠、データを集める経験をし、それらの妥当性を評価し、証拠に基づいた考えのフィードバックをする経験を積んでもらいます。また、証拠と証拠を論理で繋ぐ訓練をしてもらいます。

2.「伝わる説明」:方法と結果の記述的説明だけでなく、研究の背景について、自分の研究の世界的な意義や立ち位置を説明し、自分の出した結果の意味するところも説明することで、分野外の人に研究の全体像をわかりやすく伝える訓練をします。

3.「普通に国際」:研究の世界では、英語が共通語です。日常的に英語を通じて、最新の研究情報にアンテナを張り、論文を執筆し、学会発表をします。論文抄読、論文執筆、学会発表、英語講義などを通じて英語に接する機会をもつだけでなく、海外の研究者との共同研究に参加したり、留学生、外国人客員教員、海外共同研究者とさまざまな交流を行うことで、国際化が特別なことでなく普通になることをめざします。

カリキュラムや入試情報の詳細は、それぞれの紹介をご覧ください。自分の新たな可能性や能力を見出したいと考えている皆さん、是非本専攻の研究室を訪れてみてください。

https://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/

メディカル情報生命専攻

20世紀後半は分子生物学の大きな発展が見られ、ゲノムを基盤とするシステムである生物について、原理的理解が急速に進みました。これを受けて21世紀は生命科学の応用の時代、ライフイノベーションの時代といわれています。しかしながら、生命現象は複雑なものであり、複雑な生命現象を全体として解析し、それに関わる多数の要素とその関係を明らかにしたうえで、それを制御する方法を見出す必要があります。

近年のDNA配列解読技術、オミックス解析技術あるいはイメージング技術などの急速な発展は、多種多様な生体高分子の網羅的解析をはじめて可能にし、複雑な生命現象を全体として解析することの糸口となり、生命分子についての大量の情報解析がライフイノベーションの焦点となることを明らかにしました。生命科学の情報化の時代には、情報技術の革新こそが、生命現象に関わる多数の要素とその相互関係を理解し、その制御を考えるために必須となります。

医学はその切実なニーズから、応用生命科学の先頭を常に走ってきました。生命科学の情報化の時代においても例外ではなく、ヒトにおいては、パーソナルゲノムの収集が著しく進展し、疾患に関連する変異を迅速に推定することが可能になり、臨床への応用が本格化しようとしています。さらにヒトではさまざまな網羅的解析情報のみならず、医療情報という形で大量の表現型情報が蓄積されているため、新たな情報技術の対象として最も適している野生生物とも考えられ、生命科学の情報化の時代には、医科学分野がほかの分野を先導する展開も期待されます。

このような時代背景から、本研究科では2015年4月、メディカルゲノム専攻と情報生命科学専攻を併合して「メディカル情報生命専攻」を開設しました。本専攻は、生命科学の情報化を先導し、ライフイノベーションに大きく貢献しつつ、その成果を臨床の現場にトランスレーションして行くことのできる人材を教育することを目標としています。そのためには、情報学と医科学の最先端の研究現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを積極的に取り入れ、情報科学と医科学の融合的な基礎教育の環境を実現し、新たな専門性を持った人材の育成を図っていく必要があります。このような人材は、単に医学のためばかりでなく、ほかの農学、薬学、環境学、生命工学等の応用分野でも必要です。本専攻はそのような人材を教育できる日本で先駆けの専攻として、生命科学の応用の時代と言われる21世紀の日本の研究をリードしつつ、生命科学の情報化とライフイノベーションに貢献する人材を広く供給していくことをめざしています。

http://www.cbms.k.u-tokyo.ac.jp/

自然環境学専攻

自然環境は、陸圏 geosphere、水圏 hydrosphere、大気圏 atmosphere、生物圏 biosphereから構成されます。しかし今や、地球上のどこに行っても、 人為影響のない自然環境は存在しないと言っても過言ではないでしょう。また、人類の環境への影響力は、生物圏の構成員のひとりとするには、あまりにも大きなものとなっています。その意味で、現代の自然環境は、上記の4圏に人類 manを加えた、5つのプレーヤーからなる系として捉えられるべきでしょう。

人類は自然環境に対して、公害や自然破壊などのようなマイナス影響をもたらしてきました。逆に、里山や里海のように、適切な人為があってこそ健全に保たれる、人類と自然の共生により形成された環境もあります。自然資源の持続的利用や、自然環境との共生を図ったサステイナブルな社会の形成が問われる今日、自然環境の特性を知ること、人間活動と自然環境の関わりの履歴を知ることは、われわれの未来をデザインするうえで、欠くことのできないテーマです。

本専攻は、陸域環境学コースと海洋環境学コースの2コースを通じ、地球レベルからローカルレベルに至る、さまざまなスケールにおける自然環境の様態とその変動、自然環境に対する人為の履歴などを、自然と社会の両面から多角的に究明しています。こうした研究活動の一端に携わりながら、自然環境と人間活動に関わる関連諸分野の知見を幅広く学ぶことにより、持続可能な社会の形成に寄与する。そうした人材を育成することが、本専攻の目標です。

http://nenv.k.u-tokyo.ac.jp/

海洋技術環境学専攻

本専攻は、海洋をわが国の存立基盤、産業国際競争力の源泉を担う重要な分野と位置づけ、海洋を機軸として諸問題の解決に貢献できる人材の育成をめざしています。

海洋の利用と保全に関わる技術や政策科学を発展させつつ、海洋新産業の創出や海洋の環境創造に寄与するための教育・研究の拠点となります。

海洋技術政策に通じ、海洋資源開発・海洋エネルギー利用・海洋環境保全・海洋情報基盤などの学問を修め、また実験演習や海洋現場観測を通じた高度な専門性と国際性を持って、海洋関連政策の立案・産業振興・環境保全の実現に貢献できる人材を育成します。

https://www.otpe.k.u-tokyo.ac.jp/

環境システム学専攻

人類の活動に伴う膨大な量の人工物生産・廃棄物排出や地表・地下・海域の開発に伴う環境改変は、大気・水・土壌・地殻・生態系からなる自然界に大きな影響を与えているのみならず、ヒト・社会を含む環境システム全体にさまざまな問題を発生させています。

これらの問題に対峙し、持続可能な将来を切り開くためのひとつの重要なアプローチとして、環境システムにおける物質とエネルギーの流れを適切に把握・評価し、システムを構成する要素間の相互作用を明らかにすることが考えられます。 また、科学技術に基づいたシステムの理解とそこから導き出される問題解決のための要素技術・それらを統合したアプローチに加え、経済・国際協調・政策といった観点をも融合した問題解決手法の構築と提示が強く望まれています。 そこでは、リスクや安全という概念に基づいた十分な検討を行うことも必要です。

本専攻では、人間−自然系としての環境システムを構成する要素間の相互作用や関係性について把握し、その理解に基づく環境システムモデルの構築による問題の所在の明確化と解決方法・制御の可能性を探り、さらに、環境調和型社会のデザインとその実現をめざして教育・研究を行っています。

https://envsys.k.u-tokyo.ac.jp/

人間環境学専攻

世の中が目まぐるしく変化していく中で、本専攻は「人間」とそれをとりまく「環境」に着目し、「人と環境が調和する豊かな暮らしの実現」を目指します。この実現には、単一の学問分野を突き詰めるだけでは不十分であり、新領域創成科学研究科が掲げる「学融合」の導入が不可欠です。

各研究室の研究プロジェクトや専攻の教育カリキュラムは、エネルギー工学、システム工学、スポーツ科学、メカトロニクス、センシング、情報通信、計算工学などの要素技術、基盤学理に立脚しています。学理の追究だけに留まらず、その強みを応用、展開させるとともに、異なる分野の研究者と手を取り合っていくことが可能です。

さらに、柏キャンパスでは、新領域創成科学研究科や研究センター群、サポート施設の一体感ある企画運営が行われ、異なる研究分野のアイデアを融合させる機会に満ちています。地域連携や国際連携、実証実験を伴うプロジェクトが多いことも特長であり、自らの研究が社会で実際に役立つさまを実感することができるでしょう。

本専攻の目指す「人間環境学」の創成を模索しつつ、切磋琢磨しながら新たな解を導き出すことを期待しています。人間と環境が形づくる新たな時代に向けて、臆することなく挑戦的な試みをともに重ねていきましょう。

https://www.h.k.u-tokyo.ac.jp/

社会文化環境学専攻

私たちが居住するまち/都市という環境は、人の集まりであると同時に、建築や社会基盤施設などのハードウェアによって形成されています。また、都市も自然環境に依存せずには存続ができません。環境問題と環境形成は、このようなさまざまな事象の相互作用の中で捉える必要があります。そのために本専攻は、本研究科のキーワードである学融合の理念を、専攻レベルで具現化しようとしています。

施設建設のための技術整備という点からであれば、必ずしも積極的な融合を必要としないという取り組みもあり得ますが、建築が都市に存在し、都市は空気・水をより広範な空間で共有している以上、建築・都市・土木の問題は、常に何らかの形で、それらの相互作用のうえに位置づけられます。加えて、そこには人間の社会生活が基本にあります。すなわち、人間生活のための水循環は、社会基盤としての上下水道システムが都市と建築をつなぎ、川や海辺のあり方が土木と都市をつなぐものです。また、安全性や利便性といった社会基盤の整備もそこに関わる多くの人の社会生活を通しての合意形成が不可欠であり、建築の評価においても、都市・市民や自然との関わりにおける役割が認識されなくてはいけないと言えます。

本専攻は、人文環境学・空間環境学・循環環境学の3つの基幹講座と空間情報学講座の4つのグループから構成されます。住居・建築・都市・地域・地球という各種スケールの物理的環境、および人文社会的環境を対象とした分析・評価・予測・形成・管理に関する研究・教育を行っています。

人文環境学講座では、都市社会学における住民運動、環境問題を取り扱い、環境問題をいかに住民が制御するかを、社会規範形成と法規範形成と併せて考えます。また、環境社会学の手法を生かしながら、人と自然の関わりと人間存在の豊かさのあいだにはどのような連関があるのか、それらの実現にはどのような社会的仕組みが必要となるのかについて、現場から食の倫理や環境倫理について探求します。

空間環境学講座では、空間環境情報の収集、解析、総合化、さらに計画の立案、評価手法を取り扱い、都市計画、建築構法計画を中心に展開し、建築・都市空間の居住環境問題として、快適で持続可能な環境構築の計画手法と技術を探求しています。また、社会基盤施設の安全性の環境負荷に対する最適化問題を取り扱い、地震や強風に対する構造物の性能評価、自然環境外乱の情報処理・予測手法の開発を行っています。

循環環境学講座では、環境制御技術の最適化問題を取り扱い、例えば、具体的には微生物の機能を環境制御に利用する方策を探求しています。また、海岸環境を取り扱い、沿岸域の物質循環や生態系場を理論、実験、観測に基づいてシミュレーションし、さらにその成果をもとに予測・評価手法の開発を行っています。

空間情報科学研究センターとの連携に立ち、協力講座としての空間情報学講座において研究・教育の展開を行っています。都市問題や地域経済問題は、関連諸情報として体系化されることにより、環境評価、環境設計、都市・地域政策などにおける意思決定に大きな役割を果たすようになってきています。空間情報科学としての多くの成果は社会文化環境学にとって学術展開の基盤となるもので、連携が環境学創成への貢献として期待されています。

以上のように、自然科学および人文社会科学の多面的なアプローチを用いた研究・教育の場で、環境学のさまざまな問題に的確に対処できる人材を育成します。教員と学生が環境を考えるという点においては、「ともに学ぶ」という姿勢の中から、そのためのさまざまな手法が活用できるとともに、それを支える要素技術の開発に当たって文化としての位置づけも行うことができ、広い意味で環境問題に対処できる人材の育成をめざしています。

http://sbk.k.u-tokyo.ac.jp/index.html

国際協力学専攻

今日の世界は、途上国開発、貧困削減、環境破壊、資源管理、国際政策協調、グローバル・ガバナンスなど、国際協力に関連した数々の課題に直面しています。
本専攻は、これらの問題について研究・教育を行い、

1. その解決や予防に向けて具体的な方策を提案して実践すること
2. 政策立案能力と実務マネジメント能力を備えたグローバル人材を育成すること

を通じて、社会に貢献することを目的としています。

これらの問題を分析し解決するためには、個々の学問分野による取り組みだけでは不十分で、それらをうまく融合させて革新的な知見を生み出す「学融合的」アプローチが必要です。また、これらの問題に対処するには、問題が起こっている現場における観察を重視し、理論と実証を融合させて解決策を実践していく必要があります。

例えば、途上国における防災の取り組みという課題を取り上げてみます。このような一般的な問題ひとつをとりあげても学ぶべきことは多々あります。まず自然災害現象に関する基礎的知識、防災設備などに関する工学的・科学的知識が必要です。また、地域社会における防災意識醸成や防災活動の継続のためには、社会制度やコミュニティなどに関する知見が重要になります。防災の社会的な価値を評価するための経済的な視点や、それを実現するための行政に関する理解なども不可欠です。そして、さまざまな人々や組織を理解し、多面的な考察を深め、それらの知見を融合させてはじめて、災害に強い社会を実現することができるのです。いかに幅広い能力が求められるかがわかると思います。そしてそれは防災だけに限った要件ではありません。

したがって、専攻の教員は経済学、工学、農学、社会学、政治学などの多様な専門性を持ちつつ、フィールドワークに基づく学融合的な研究を行っています。そして、その成果を社会に還元するために、積極的に内外の政府機関、援助機関、企業と連携しています。

本専攻は、このような現場を重視した「学融合」によって国際協力に関連した教育研究を行っているところに最大の特徴があります。

https://inter.k.u-tokyo.ac.jp/

サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム(GPSS-GLI)

本プログラムは、サステイナビリティ学や持続可能な開発分野の発展に貢献し、将来リーダーシップを発揮できるグローバルな人材を育成することを目的としています。東京大学大学院新領域創成科学研究科と国連大学 (UNU) との連携により、本プログラムで学ぶ学生は、世界の主要大学・研究機関の教育資源や国際的なリサーチネットワークが利用できるほか、グローバルリーダーの育成に必要となる研修やさまざまな機会を得ることができます。

本プログラムでは、専門性の高い研究や一般教育に加えて国際的な実務経験を積むことにより、(1) グローバルリーダーシップに必要なスキルを開発し、(2) 幅広い観点や問題解決能力を獲得し、(3) 「レジリエンス」という概念を理論と実践の両面に適用するスキルを身に付けることができます。全ての講義・演習は英語で行われ、修了者には「修士(サステイナビリティ学)」「博士(サステイナビリティ学)」が授与されます。

http://www.sustainability.k.u-tokyo.ac.jp/


本研究科の入試要項はこちらから
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/exam/info/index.html