政策・行政管理系大学院ってなに?

近年の技術革新や社会経済のグローバル化等を受け、社会的・国際的に通用する高度な専門能力を持った職業人が求められている。
従来の公務員制度(大学卒業レベルを対象とする公務員試験と、採用後の職場内訓練を中心とする人材育成)では、高度化、グローバル化の社会に対応できない。また、修士、博士の学位を有することが珍しくない諸外国の公務員と対等に渡り合うことも困難である。政策・管理行政系専門職大学院では、これらの課題の解決を目的としている。

大学院によって「公共政策」、「公共経営」、「地域公共政策」など名称に違いがあり、重視する分野が若干異なっている。また、同じ大学院でも法律や国際、経済などのコースに分かれている場合もある。
学べる内容は法律、経済、政治をベースに国際・実務主義を主としている。フィールドワークやディベート、ケーススタディを積極的に取り入れている。公務員、企業経営者やジャーナリストなど幅広い分野の実務者を教授陣として揃えているところがほとんどだ。
対象となるのは、学部卒業生はもちろん、公務員を含め、キャリアアップをめざす社会人全般。政策実務を担える人材の育成という意味では公務員養成を念頭に置いているが、本当の狙いは知識量ではなく、知識を応用し問題解決や政策立案ができる能力を持つ人材を育成することにある。そのため、修了後の進路も国家公務員、地方公務員、国際機関職員、一般企業やマスコミなど幅広いものになると予想される。

ただし、現時点では、「政策・管理行政系大学院」を修了しても公務員試験の一部が免除になるといった実利はない(今後の国家公務員制度改革によって変更はあろうが)。司法試験と結びついている「法科大学院(ロースクール)」とは違う部分だ。修了証自体が資格につながっているわけではないが、ここで学んだ知識と経験が、社会で高く評価されるであろうということはMBAなどと同じ感覚である。