学院進学ガイド学費・奨学金制度

大学院で必要な学費(入学金・授業料・施設費等)は、設置者(国立や公立、私立)、研究科などにより、大きく異なります。また、仕事を休職して大学院進学を検討している場合、在学中の生活費をどうするかも事前に考えておくことが大切です。奨学金等の利用も含めて、資金計画を立てましょう。

学費は設置者によって異なる

学費は以下のように、設置者によって異なります。志望する大学院・研究科の募集要項や公式サイトで学費等を確認しましょう。

国立・・・国立大学と同様に、入学金は282,000円、授業料は535,800円。国立大学院の修士課程の場合、2年間で約135万円の学費となる。また、国立の法科大学院の授業料は、それよりも高く設定されており、804,000円(※1)。

公立・・・大半が国立大学院と同程度。入学金は、設置者の自治体に住む学生と他自治体に住む学生とでは異なる場合が多い(※2)。

私立・・・設置者によって授業料は異なる。

※1 国立大学は、文部科学省令による標準額(2025年度現在 )。
※2 「2024年度学生納付金調査結果」(文部科学省)

奨学金や学費の減免制度などの利用を検討

奨学金

各種奨学金の募集内容をまとめて紹介している大学院が多いため、まずは志望する大学院の奨学金に関する資料にまず目を通してみましょう。

日本学生支援機構の奨学金・・・無利息の第一種奨学金と利息がつく第二種奨学金がある。第一種と第二種を併用できる場合もあるが、いずれも収入基準額や学力基準などが設けられている。入学前に申し込む方法と在学中に申し込む方法があり、大学院によって異なるため、事前に確認が必要。

大学院独自の奨学金・・・授業料などの免除、授業料の一部相当額の給付など、大学院が独自に設けている奨学金。大学院によっては成績優秀者を対象とした奨学金制度を設けている。

民間・地方公共団体などの奨学金・・・給付・貸与額や利用資格、他の奨学金との併用の可否など、その内容が団体ごとに異なる。

授業料減額・割引制度

授業料減額制度は、経済的な事情で授業料納付が困難な人を対象に、授業料を免除あるいは減額する制度です。
国公立の場合、長期の疾病や失業で生計不良になった家庭や、災害により学費の納付が困難な家庭の学生に対する授業料の減額や免除がある場合があります。私立においても大学の同一学部出身者については、入学金や授業実施に付随する費用を減額、もしくは免除するところがあります。成績優秀者に対して、授業料を免除・減額する制度を持つ大学院もあります。また、シニア層に対して学費割引など独自の制度を設けている大学院もあります。

教育訓練給付制度

教育訓練給付金とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。社会人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として行われています。
給付金の対象となる教育訓練は、そのレベル等に応じて、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、給付率は種類によって異なります。大学院での学びも教育訓練給付金制度の対象となっている場合があります。また、同じ大学院でも指定を受けているものと、受けていないものがあります。教育訓練給付制度の受けられる講座を調べられる検索サイト があるので利用すると良いでしょう。

教育ローン

公的機関や民間金融機関が提供する教育ローンを利用する方法もあります。大学院によっては、提携先の金融機関による優遇金利で借りられる場合もあります。ほかにも、法科大学院専用の教育ローンを特別金利で融資する独自サービスを提供している金融機関があります。

大学院生への経済的支援

博士後期課程学生への国からの支援

国は、博士後期課程学生への就職支援に力を入れています。その1つが、所属大学を通じた支援である「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」です 。優秀で志のある博士後期課程学生が研究に専念するための経済的支援(生活費相当額及び研究費)及び博士人材が産業界等を含め幅広く活躍するためのキャリアパス整備を一体として行う実力と意欲のある大学を支援する施策で、博士後期課程学生1人あたり、最大で290万円/年を支援します。そのほか、トップ層の若手研究者を個人支援する「特別研究員事業」などがあります。

その他、経済的支援

大学院生を対象に、ティーチングアシスタント(TA)、リサーチアシスタント(RA)、スチューデントアシスタント(SA)などの制度を設けられている場合があります。それらの業務に従事すると、賃金または謝金が支給され、経済的な支援も得られます。教育・研究補助業務を行うことを通じて、研究者や指導者としての実践的なトレーニングの機会にもつながります。

ティーチングアシスタント(TA)・・・優秀な大学院学生に対し、学部生の教育効果を高めるために、チュータリング(助言)や実験,演習等の教育補助業務を行わせ、大学教育の充実と大学院学生のトレーニングの機会提供を図る制度。業務に従事した学生には、賃金又は謝金が支給される。

リサーチアシスタント(RA)・・・優秀な大学院生が研究補助者として研究実験の補助などの業務に携わる制度。研究を効果的に推進できることに加え、研究体制の充実が図られるとともに、従事する大学院生自身にとっては、自らの研究力を高めるよい機会にもなる。RAが受け取れる賃金又は謝礼は、大学、所属課程、業務内容等によって異なる。

スチューデントアシスタント(SA)・・・学部生または大学院生に対し、履修管理や教育研究活動の支援など多方面にわたるサポートを行う制度。大学によって学生アシスタント、チューターなどの名称の場合もある。外国人留学生が安心して学生生活を送れるようサポートするチューター を募集している大学もある。参加学生には、多くの場合、規定の賃金又は謝礼が支払われる。