大学院進学ガイド 大学院の入試制度

大学院でセメスター制度が導入されるようになったこともあり、従来の春入学だけでなく、秋入学を取り入れている大学院が増えてきました。大学院進学が学部生中心でなく社会人も増えている点からみると、入学時期を選べるというのは進学しやすい環境になったといえるでしょう。
同時に入学試験もまた、多様化しています。同じ大学院でも学部生と社会人では入試形式や内容が異なり、特に社会人入試では筆記試験が免除されることもあります。

春入学と秋入学について

最近は、春入学生に加えて、秋入学生を受け入れているところも少なくありません。
出願期間や入試の時期は、春入学や秋入学同士を比較してもかなりバラつきがあります。
志望大学院の出願期間、入試日程は早めに調べておきましょう。

4月・9月入学に対する出願時期と入試時期が異なる例

大学 入学時期 出願期間 入試月
A大学 4月入学 7月下旬 8月
B大学 4月入学 8月上旬 9月
1月上旬 2月
9月入学 6月上旬 6月
C大学 4月入学 6月中旬 7月
9月下旬 10月
2月中旬 3月

多様化する大学院入試制度

大学院入試を大別すると、学部生から社会人まで幅広く受験資格を認める一般入試と、ある一定の要件を満たした社会人を対象とする社会人入試に分けられます。さらに、入試形態によって試験科目も問われる内容も異なります。試験内容についても、英語の試験を省き、代わりにTOEIC(R)やTOEFL(R)のスコアの提示を必須とする大学院もあります。
自分が進学したい大学院が実施している入試形態と出願資格を確認し、早めに受験対策を開始しましょう。

一般入試

大学を卒業した人、あるいは卒業見込みの人なら受験できます。(大学院や研究内容によっては、同じ専攻の学位を授与された人あるいは授与される見込みの人という制限がついている場合があります)
試験内容としては通常、外国語と専門科目の筆記試験、書類審査、面接が実施されます。大学院によっては一般入試の過去問題を閲覧できるところもありますので、受験対策にぜひ利用しましょう。

社会人入試

大学の卒業者を対象とする試験で、一般入試に比べ試験科目が少なかったり、筆記試験がなかったりと、受験勉強の負担が比較的少なくなっています。仕事をしながら受験勉強をする社会人にとって試験準備が楽になりますが、それぞれの大学院が社会人入試としての受験資格を定めています。社会人入試を利用したい人は自分が対象となるかどうか、各大学院の出願条件をきちんと確かめましょう。特に受験資格として、社会人経験3年以上などの条件を設けている大学院が多くあるため、必ず条件を調べておく必要があります。

社会人入試の場合、無試験、専門試験免除も

一般的に、社会人入試では外国語試験と面接が課されます。大学院によっては外国語も免除して、面接だけで受験できるところもあります。いわゆる「無試験入学」です。
無試験入学とはいえ、やはり、日ごろの意識が大切です。社会人入試では、入学志願者が作成した詳細な「研究計画書」が、判定材料として重要視されます。勤務先所属長の推薦書なども必要です。学ぶ意欲を第三者から評価されて、はじめて受験できる入試なのです。
社会人入試の場合、書類審査と面接だけで入試を実施する大学院もありますが、そうした大学院の多くが、小論文や研究計画書の提出を義務づけています。特に研究計画書は、基本的な作文能力はもちろん、研究テーマについての理解や知識、さらには研究者としての資質や熱意までを問われるので、入試試験と厳しさに変わりはありません。

AO入試

大学入試で盛んに取り入れられているAO入試ですが、最近は大学院入試でも採用する大学院が増えてきました。
アドミッションズ・オフィス入試の略で、人物重視の入試形態ともいえます。選考方法は多くの場合、書類審査と面接によりますが、社会人入試に採用している大学院もあり、学部生・社会人の枠を特に規定しないで採用している大学院もあります。

推薦入試

通常、推薦入試を利用できるのは、内部進学をめざす学部生です。受験資格を得るには「一定以上の成績」を修めていることを求められることが多く、その代わり試験内容が軽減されることも少なくないようです。
学外からの推薦入試を実施している大学院や、社会人対象の推薦入試を実施している大学院もあります。

大卒でない人の大学院受験

いま、大学院の受験資格が大幅に緩和されています。これまでの制度では、学部卒業でないと大学院に進めないしくみになっていましたが、大学院入試の改革によって、4年制大学卒業生と同等以上の学力があれば、短大や高専、専修学校の卒業生なども大学院を受験できるようになりました。
ただし、入学者選抜の方法は一般の志願者とは少し異なり、
 1. 個々の大学院が独自の方法で志願者の学力をみる
 2. 「大卒程度」の学力が認められた人について入試を行う
という2段階で実施されています。実社会で専門的な実績を積んだり、国際的協力事業に従事した人などが、多く大学院に進むことが期待されています。