学習院大学大学院 人文科学研究科

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教育学専攻

多様な意見や知識を吸収できる環境で
「人に教えること」を専門的に学ぶ

教育学専攻 博士後期課程
宮島衣瑛さん

学習院大学文学部教育学科卒業後、同大学大学院博士前期課程、博士後期課程と進学。その傍ら、子どものためのプログラミング道場(一社)CoderDojo Japan 理事、デジタル・テクノロジーと教育のR&Dを行う株式会社 Innovation Power 代表取締役社長などを務める。

試験前に手書きで小論や論文を模擬的にやってみる

入試の際の対策内容についてお聞かせください。

博士前期課程の入試では、教育学の基礎的な事柄を問う試験、小論文、英語、面接が行われます。まずは教育学の基礎的な事柄を覚える必要があったため、教育原理についてのテキストを読み込みました。私が購入したテキストはテーマごとに解説がされていたため、適当にパラパラとめくって開いたページのタイトルだけ見て、内容が書けるかどうかを試していたのを覚えています。
また、教育学に登場する基本的な人名についても抑えました。例えば、ジョン・デューイやヴィゴツキー、ピアジェといったメジャーな人物がどんなことをして、どのような本を書いているのか、については一覧にまとめました。
博士後期課程の入試では、専攻の先生方の専門分野に絞って、その分野における古典的な書籍や研究の流れ、最新の動向などをチェックしていました。自分が志望している先生の分野に特定してしまうのではなく、もう少し広く捉えるといいのではと思います。
これは私の個人的な気づきですが、手書きで長文を書く練習はしておいてよかったと思います。修正が簡単なコンピュータ形式で考えながら書くのと、修正が難しい手書き形式で考えるのとでは、思考の方式が異なります。試験前に一度手書きで小論や論文を模擬的にやってみるといいかもしれません。

現場の実態などをあわせながら考えを深めることができた

入学して感じた、この専攻の強みを教えてください。

本専攻では、専修免許状の取得につながる教科教育を扱う講義と、教育学的な内容を扱う講義の両方があります。自らの研究対象を深めることはもちろんですが、専門以外の領域についても講義を通して深めることができることが大きな魅力です。例えば、私の専門は教育方法学や授業研究といった領域ですが、教育史や教育行政といった教育学の領域の講義や、音楽教育や総合学習といった教科教育的な講義まで幅広く履修しました。その中で、各講義が扱っている領域のことだけでなく、自身の研究への向き合い方や研究方法、まったく新しい知見を獲得することができたように思います。
また、学部からストレートで進学した学生だけでなく、現職で教師をしながら通っている学生がいることも大きなアドバンテージだと思います。授業の中で議論するときも、机上の空論的な発散した内容ではなく、現場の実態などをあわせながら考えを深めることができます。例えば、授業の様子を撮影したビデオを見て、子どもの学びの事実から気づいたことをディスカッションする授業では、自らの経験に引きつけて話しをする学生もいれば、理論的な枠組みを使って説明する学生もいます。理論と実践の往還を掲げる、本専攻らしい議論の仕方だと思います。

「自分のときはこうだった」は1事例に過ぎず、実際にはもっと多様であるということに気付いた

授業の内容やその面白さについてお聞かせください。

私の研究は主に学校教育を対象としているため、実際に現場に行って観察させていただいたり、時には考案した授業を実践させていただいたりしています。私自身が授業をしたり子どもと関わることが好きなため、このような研究手法はとても楽しんでやっています。また、目の前で子どもたちが学んでいる姿を観察していると、それぞれの学び方、それぞれの理解の仕方をしていることがわかります。教育は自分もこれまでに経験していることなので、何かと「自分のときはこうだった」と当てはめたがってしまうのですが、それは単なる1事例に過ぎず、実際にはもっと多様であるということに気付かされます。この気付きも、学校に入って研究をする醍醐味と言えるのではないでしょうか。特に、私が研究をしているコンピュータやプログラミング教育といった分野では、子どもたちのアウトプットが類型化されやすいという特徴があります。子どもの多様な学びと多様な表現がどのように成立するのか、それを研究していくことは、これからの教育を考える上でも避けては通れない道だと考えています。だからこそ、自分の研究がいつか誰かの役に立つかも知れないと思えますし、そのために頑張り続けられるのだと思います。

子どもの学びの事実を見るためには、質的な研究法を用いることが重要

研究テーマとその魅力について教えてください。

修士論文では「小学校におけるコンピュータの創造的活用」をテーマに研究を進めました。1980年代後半から90年代にかけて日本で研究されていた学びの道具としてのコンピュータの系譜を改めて取り上げ、その時点では不足していたコンピュータによる創造的な側面を構築主義(constructionism)と呼ばれる学習理論を参照しながら補強し、学びの道具としてのコンピュータは「思考・探究・協同・表現・創造」の性格が見られることを示しました。 それらの要素を基に、10時間分のカリキュラムを作成して小学校で実践しました。子どもたちが総合の授業で学んだパラリンピックについての内容をコンピュータ・プログラミングで作品化する過程でどんなことを学んでいるかについて、ワークシートや作品、授業の様子を撮影したビデオを基に分析し、質的に描き出しました。 コンピュータ教育についての研究は、一般的には数量的な把握に基づく分析が多く行われています。しかし、子どもの学びの事実を見るためには数量的なものでは測ることのできない、質的な研究法を用いることが重要だと考えています。



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