会計系大学院ってなに?

「金融審議会公認会計士制度部会・専門的教育課程についてのワーキンググループ」の「専門職大学院における会計教育と公認会計士試験制度との連携について」の報告書によると、公認会計士試験の受験者は受験専門学校に依存しており、公認会計士として備えるべき資質・能力の育成には公認会計士試験だけでなく、「高等教育機関における体系的な会計教育を通じた取組みが必要不可欠である」としたうえで、「専門職大学院」で会計分野を中心に展開するもののうち一定の要件を満たすものに関して「公認会計士試験の試験科目の一部免除を行うことが適切である」としている。そしてその中で、いわゆる「会計大学院」修了者には、新公認会計士試験の短答式試験における「財務会計論、管理会計論、監査論」の 3 科目を免除することが適切であると具体的に述べられている。詳細についてはまだ検討段階であるが今年中には決まると思われるので、公認会計士試験免除を念頭において「会計大学院」への進学を考えている人は、新公認会計士試験の実施のあり方を検討している「公認会計士審査会・新公認会計士試験実施に係る準備委員会」の動きに注目して欲しい。

先に述べたように「会計大学院」を修了しても公認会計士試験の免除は短答式試験の一部の科目のみであり、公認会計士試験免除に主眼をおいて「会計大学院」に入学することに魅力を感じるかどうかは、意見が分かれるところであろう。暗記があまり得意でない人や会計・ファイナンスを体系的に勉強してみたいと思っている社会人などにとっては、「会計大学院」で学ぶメリットは少ないのではないか。しかし、最近の社会人が多く入学している大学院で全般的に言われることだが、いろいろいろな経験を持つ多種多様な企業などからやってくる院生仲間と議論することは、大学教授も知らない貴重な話が聞けたり、これまでになかったネットワークが持てるなど計り知れないメリットがある。また、「会計大学院」には、大企業の最前線で働くビジネスマンや公認会計士などの有資格者が、自己のブラッシュアップを目的としてやってくると思われる。そういった人たちと机を並べ議論ができる場が与えられるということは、これからそういった仕事をめざす人にとっては、試験免除以上に魅力があるのではないだろうか。もしかするとそこで、新しい職場が見つかる可能性も否定できない。

今度の新公認会計士試験によって、受験技術優先主義が改善されるならそれはいいことだろう。「公認会計士業界から、企業のことを知らない公認会計士の教育の場として、会計大学院は期待されている」という大学関係者の声も聞く。しかしだからといってどこの会計大学院でもいいわけではない。 第三者評価機関によって問題ありとされるような学校を選ぶわけにはいかないだろう。また今後、日本公認会計士協会が国際会計士連盟(IFAC)が公表した「職業会計士教育国際基準」に対してどういうスタンスをとるかからも目が離せない。そういった動きを敏感にキャッチし対応できる学校を選別するということが、これから「会計大学院」を選ぶ上で重要である。