知的財産系大学院ってなに?

知的財産を学べる大学院はなぜできたのか?

2002年11月、知的財産戦略大綱に基づいて知的財産基本法が制定され、これをうけて2003年3月、内閣に知的財産戦略本部が設置された。この時点から我が国は「知的財産立国」の実現に向けたスタートを切った。しかしながらアメリカなどの当該分野先進国と比較すると、すでに約20年の遅れをとっている。また、知的財産は国境を越えて広がるという特性を持つため、国際的な戦略に基づいた上でその戦略を構築しなければならない。すなわち単に先進国を模倣するのではなく、わが国独自の知的財産戦略を構築する必要がある。
このような状況の中、技術立国としてこれまで蓄積された特許やノウハウ、世界から高い評価を得ている日本製のアニメやゲームソフトなどのコンテンツといった知的財産を国富の源泉とし、これを最大限に活用することによって一刻も早い「知的財産立国」の実現を目指すことこそが、我が国経済が持続的成長発展を続けていく上での喫緊の課題となっている。
2004年5月27日に知的財産戦略本部から打ち出された「知的財産戦略計画2004」には、知的財産関連人材の育成と知的財産教育・研究・研修を推進するため、「専門人材を育成する」「知的財産に関する大学院、学部、学科の設置を推進し、知的財産教育を魅力あるものとする」「知的財産教育・研究の基盤を整備する」などの施策に打ち出されている。
このような背景を踏まえ、近年、知的財産を学べる大学院の整備が進んでいる。

どのような教育が行われているのか?

知的財産関連人材には、単に特許や法律の専門家というだけでなく、技術と法律・経営といった文理融合型の人材や、法科大学院、知的財産専門職大学院、 MOTの各プログラムを総合的に理解した人材が求められている。そのため、各法科大学院の入学者選抜方針に基づく入学試験において、理系出身者への配慮や、法科大学院の学生が他の大学院等において技術系科目を受講できるようにするといった法科大学院の自主的な取り組みを促すなど、従来の文系・理系の枠を超えた教育が進められるように配慮されている。
また、法科大学院、技術経営(MOT[マネージメント・オブ・テクノロジー])プログラム、知的財産専門職大学院、知的財産を専攻する学部・学科について、夜間及び休日専門の法科大学院の創設や夜間講座の拡充等、社会人教育や実務家教員の参画を容易にするための取り組みも行われている。
さらに、法科大学院、知的財産専門職大学院、MOT、知的財産を専攻する学部・学科の教員又は講師は、知的財産分野に精通し、研究開発、経営、起業等に豊富な知識・経験を有する民間企業等の人材が積極的に登用されている。