IT・コンテンツ系大学院ってなに?

ビジネスのグローバル化や本格的なユビキタス時代の到来などという話を持ち出すまでもなく、ビジネスとITがいまや切り離すことができないものであることは周知の事実だろう。特にITを効果的に利用したビジネスが多くの成功事例を生み出している。
また、2004年4月に国家戦略として「コンテンツビジネス振興政策」が発表され、コンテンツビジネスの分野の発展が強く求められている。国際的に評価の高い映画、アニメ、ゲームのコンテンツなどの創造、保護や活用を図ることなど、コンテンツ分野への注目と期待が高まっている。こういった時代背景を受けて、プログラミング、ネットワークシステム、Web関連の知識などを修得できるIT系大学院やアニメ、映画、ゲームなどの知識や技術を修得できるコンテンツ系大学院の必要性が高まっている。特に映像分野の動きは活発である。デジタル技術の発達によって従来、それぞれ別分野として独立していたものが、融合しつつある。まさに従来の分野を越えた概念で新しい表現を生み出す制作者、コンテンツをビジネスに展開できるプロデューサーが業界で強く求められている。

IT・コンテンツ系大学院の特徴は各大学院によって異なるものの、共通しているのは専門分野のカリキュラムだけでなくビジネスに役立つカリキュラムも設定している大学院が多いことである。最近はMOT(技術経営)教育のように、技術者は技術だけではなくマネジメント能力も修得する必要があるといわれるようになってきた。どれだけ優れた技術があっても付加的な経済価値を生み出すためには技術だけでは不十分で、いわゆるビジネス系のスキルも必要不可欠となってきているのだ。その波はIT・コンテンツ業界にも押し寄せてきており、最近の大学院では、ITやコンテンツのスキルだけでなく、マーケティング、ファイナンス、リーダシップや知的財産権の知識などマネジメントに必要とされるスキルも教えることが主流となりつつある。
現在は新しいIT・コンテンツ系大学院の設立があいつぎ、新しい取り組みを始めている転換期でもある。コンテンツ制作プロデューサーやディレクターの育成をめざすデジタルハリウッド大学院大学は、これまでのデジタル人材育成の実績を武器に株式会社のまま大学院を立ち上げた。また40年以上コンピュータ教育を行ってきている京都コンピュータ学院が別法人を設立して作った京都情報大学院大学は、日本初のIT専門職大学院として、人材育成を行っている。

ブロードバンド化が進む中、様々なビジネスチャンスが生まれている。そのため、ますますIT・コンテンツ系大学院を目指す人は増えるだろう。これからのIT・コンテンツ分野は、新しいビジネスフローの開発や、ブロードバンドによる映像コンテンツの研究など、無限に広がりつつある。しかし、この業界は変化が激しいだけに、自分のキャリアデザインをよく考え、自分はもちろん時代に合った大学院を見極めなければならないといえよう。