修士課程や博士課程を修了後、それぞれどのような進路に進む人が多いのでしょうか。文部科学省の2024年度の学校基本調査を基に詳しく見ていきましょう。修士課程修了者の進路を見ると、就職率はほぼ横ばいの傾向にありますが、博士課程等への進学率は長期的に見ると減少傾向にあるようです 。課程や学問系統によっても卒業後の進路は違いがあります。
修士課程・・・就職率は、近年ほぼ横ばいで、修了生の約78%が就職している。分野別に見ると、理学や工学、農学、保健系では、教員以外の専門的職業職(科学研究者・技術者等)に従事する者の割合が高く、人文科学系・社会科学系では販売・事務業務に従事する者の割合が高い。
博士課程への進学率は約10%だ。
博士課程・・・修了生の約70% が就職している。進路の内訳を見ると、民間企業・公的機関等が約38%、大学等教員が約14%、ポスドク等が約12%だ。 分野別に見ると、理学や工学、農学、保健系では、博士課程修了後に教員以外の専門的職業に従事する者の割合が高く、人文科学系・社会科学系では、就職率が他の分野と比較して低く、大学以外も含めて教員になる者の割合が高い 。

ポスドクは、ポストドクターの略で、大学院博士後期課程を修了し博士号を取得した後、将来的に正規の大学教員や研究職をめざす人が、大学や公的研究機関などで研究活動に従事する任期付きの研究者を指します。「ポスドク研究員」「博士研究員」などとも呼ばれています。
ポスドクの雇用期間は3年未満が77%となっており(※1)、雇用期間が短い場合が多く、短い期間で研究成果を出すことが求められています。そのため複数の大学でポスドク経験を積む人も多いようです 。
※2 科学技術・学術政策研究所「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」(2021年度実績)
修士課程修了後、安心して博士課程への進学を選択できる環境を整えるため、国は大学院生向けのキャリア形成支援策として「ジョブ型インターンシップ」を行っています。研究を行う基礎的な素養・能力を持った大学院生(当面は博士課程)が、基本的に2か月間以上の長期において、単位を修得しながら、有給で企業の研究インターンシップに参加できる制度です。インターンシップ終了後、企業は大学院生を評価し、評価書・評価証明書を発行。その評価は、他の企業での採用選考でも活用が可能です。
文部科学省の資料(※2)によると、アメリカやイギリスなどの主要国の中では、日本のみ、人口100万人当たりの博士号取得者数の減少傾向が続いています。そこで、文部科学省を始めとする関係省庁では、博士号修得者数を世界トップレベルに引き上げることを目標に、各種取り組みを行っています。
具体的には、大学院教育の充実、博士後期課程学生への経済的支援(詳しくは経済的支援参照リンクをつける)、キャリア形成支援などが挙げられます。博士課程に進学する大学院生が多様なキャリアパスが描けるような施策が進められています。
※文部科学省「博士人材活用プラン」
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