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人間学研究科 心理学専攻
伊東 秀幸教授
精神保健福祉士、公認心理士として、保健所や精神保健福祉センター、こども医療センターなどで臨床経験を積んできました。今やメンタルヘルス(心の健康)の問題は国民すべてにかかわる問題となっています。公認心理師の資格を取得し、精神科病院や教育機関、企業など、幅広い場面で心理支援の専門家として活躍できる知識を磨いていきましょう。
医師や看護師などと並び、対等に活躍できる心理支援の専門家養成をめざす
2019年4月に設立された人間学研究科心理学専攻ですが、その設立背景を教えてください。
本学はもともと福祉・保育・教育の専門家養を基軸とした教育・研究を行ってきました。そんな中、2017年に公認心理士法が施行され、心理学系唯一の国家資格である「公認心理師」が誕生。こうした時代のニーズに応え、共生社会の実現を担う人材を輩出することは、本学の使命であると考え、「公認心理師」のカリキュラムを整えた人間学研究科心理学専攻を設置しました。
公認心理師は、基本的に大学院を卒業して受験資格を得ることが資格取得のメインルートとなっていますが、本専攻の設立によって田園調布学園大学人間科学部心理学科の学びから、6年間一貫して認定心理師をめざして学ぶことができる環境が整ったことになります。こうした学びの環境を最大限に生かし、国家資格を持った実践力ある専門職の養成に力を注いでいきたいと考えています。
公認心理師養成にしばられることなく、バラエティに富んだ研究をサポート
人間学研究科心理学専攻のカリキュラム・研究の特色を教えてください。
公認心理師の指定科目が多いため、かなり忙しい研究生活になるかと思いますが、各カリキュラムを受講することによって、自然と資格取得に直結する知識が得られるようになっています。とはいえ「国家資格を取得する」ことをゴールとし、試験勉強にだけ夢中になる2年間にはしたくない。本専攻の真の目標は、人間学的学識に基づき、人間の多様性・多元性を尊重しながら、心理学困難に寄り添い、解決へと導く力を身に付けること。そのため、人間学的学識を共通の必修科目とし、質の高い「省察的(自分自身のことを見つめる)実践家」の養成をめざしています。
また私自身も県職員として保健所や精神保健センター、こども医療センターで心理テストやプレイセラピーなどのさまざまな経験を積んできたように、専任教員はみな、高齢者施設での認知症研究やカウンセリングルームの経営など、豊富な知識・現場経験を有していますので、「こういうことを学びたい」というニーズにも幅広く応えることができます。
チャレンジ精神・自己研鑽意欲を高め、幅広い現場で活躍できる力を磨こう
心理学専攻での学びを終えた後、学生にどのような活躍を期待していますか。
「公認心理師」という国家資格が誕生したことで、心理支援の専門知識を持った人材が活躍する場はますます広がっていくと予想されています。これまで心理に関わるスタッフを「非常勤で雇っていた」という病院や施設での常勤採用や、企業で採用される心理師も増えていくのではないでしょうか。
本学がめざすのは、公認心理師の資格制定を機に、医師や看護師などと並んで対等に活躍できる心理師を養成すること。そのためには他の職種と連携し、円滑なコミュニケーション力も必要となります。また、自分を認め、自分の可能性を信じることができなければ、他人を認め、他人の可能性を引き出すこともできません。国家資格試験対策や心理に関する専門知識を磨くことにのみ夢中になるのではなく、チャレンジ精神を持ってさまざまな経験を積み、自己肯定感を高めていただきたいと思っています。